新しいタイプの吊り裏毛を試編みしています。LWベーシックやLWライトよりも原綿のグレードを上げていますが、スイスコットンとは少し違うベクトルにある吊り裏毛を作れたらといいなと思っています。吊り裏毛、本来の特性をさらに生かすようにふんわりと優しく空気をいっぱい含んだ、そんな生地が目標です。スイスコットンは細番手の超長綿スーピマをスイスレベルの精度で紡績して、日本で撚糸をして吊り編み機に挿入できる太さに加工しているのは、もうご存知の方も多いかと思います。通常、糸のクオリティを表す基準として原綿の繊維長がどのくらいの長さであるのかを僕たちはみます。よく超長綿と呼んでいるものは、繊維長が35ミリ以上あるものをさしています。ちなみに、ちまたでは最強とよばれているシーアイランドコットンは40ミリ、ギザと呼んでいるエジプト綿の高級銘柄が32~38ミリ(ギザ◯◯番と番号で長さが区別されています)ループウィラーが好んで使用しているアメリカ西海岸産のスーピマが35ミリ、このあたりが一般的に代表的な超長綿の銘柄となります。超長綿を使用しての紡績糸は通常60番手以上(LWがスイスコットンで使用しているのは80番手の糸を撚糸しています)の細い糸が主流となりますので、吊り裏毛を編むには細すぎるわけです。前置き長くなりましたが、今回テストしているのは細くない超長綿糸、中番手である30番手クラスの超長綿の紡績糸をなんとか手に入れての試編みが画像となります。さらに通常紡績をするときに糸は撚られるわけですが(中には無撚糸というものも存在します)吊り裏毛を編むのに適しているのはおおよそ、700回転/1m前後の回転数がほどよいとされています。で今回はその回転数をかなり減らして(今のところ秘密です)LWベーシック糸より甘撚りをして紡績した糸を使用しての編みたて試験です。なぜ甘撚りをするかですが、繊維と繊維の間にできる空気層の容積多くなり、通常の回転数の糸より空気を多く含むことができ、それが吊り編み機に特性とあいまってふっくらとした優しい風合いの生地ができるであろうとのテストなわけです。甘撚りは回転数が少ない分、繊維長が長くないと、繊維がほぐれてしまってしなやかな糸の形状を維持するのが難しくなります。甘撚と超長綿はセットで考えないと上手くないわけです。これからいろいろと試験をしないとなりませんので、プロダクトのリリースはもう少し先になりそうですが、来年は10周年ということもありますので、こういった新しい試みもしてゆきたいと思っています。今日は少し長くなってしまいましたが、おつきあいいただいてありがとうございました。 @鈴木さとし / Satoshi Suzuki