反毛とは未使用のまま破棄される生地や、紡績工場で発生する落ちワタ、縫製工場で発生する裁断ハギレなどを集めてもう一度ワタの状態にもどして糸の原料をつくる技術のことを言います。古来より、繊維は大変貴重なものであったことから、個人レベルで見れば、繊維のリサイクルは古くから行われてきたと言えます。明治から昭和へと時代の流れの中で、紆余曲折はありましたが、この繊維リサイクル産業は独自の発達してきました。破棄を少なくしてリサイクルが叫ばれる昨今ですが、ループウィラーも2年ほど前からこの反毛に向き合ってきました。僕たちは、縫製工場の丸和繊維工業さんで製品を製作していただくときに、廃棄される裁断ハギレを再利用できないかと考えてきました。ようやくと言ったところですが、反毛糸が出来上がってきました。ほとんど実験の繰り返しのようなものでしたが、一番大きな問題点はこの反毛で再生されたワタのみでは、ワタのクオリティが、紡績基準を満たすことができず糸にならないということです。現在の技術ではバージンコットン(僕たちがレギュラーで使用している新しい原綿)を70%混ぜないと糸にならないということなのです。70%混ぜるというよりは、新品の原綿70%に対して反毛からできたワタを30%混ぜるといった方が僕的にはしっくりくる。そして70%もバージンコットンが必要なこと、、、エコエコと声を大きくすることに、これって意味があることなのだろうかと考え込んで少し疑問を持ってしまったのも事実でした。それでもやらないよりは良いかという考えと、やっていくうちに技術や新しい方法論などを見いだし、反毛ワタ使用比率を高められる可能性もあるのではないだろうかという結論になったわけです。そして画像の反毛糸の試作が出来上がりました。向かって右はLWライト吊り裏毛のグレーメランジ、マリン、ブラックの3色の裁断歯切れをほぼ均等に反毛したもの。真ん中はグレーメランジのみを反毛したもの、向かって左はグレーメランジ25%、ブラック25%、マリン50%を反毛したものになります。糸だけですとグレーメランジのみはかなり淡いグレーに近くなりますが、他2つはなかなかわかりずらいので、カネキチ工業の南方社長にお願いして試編みをしていただいております。おそらく間もなく出来上がってくるかと思いますので、またお知らせしますね。今日はループウィラーの少しでも無駄をなくすために、反毛への取り組みのお話でした。@鈴木さとし