ウール吊りパイルその1

今年の受注会のイチオシ素材でもありますウール吊りパイルです。使用しているウール100%糸もカシミアシリーズと同じ紡績工場の東洋紡糸工業でつくっていただいてます。手前味噌ですが、本当に良いものができたかなと思っています。吊り編み機で編み立て可能な組織は、吊り裏毛。吊り天竺、吊り鹿子、吊りインレイと今回初めて製作した吊りパイルのたった5種類だけなんです。先の4種類は今まで数多くの糸の組み合わせや、原綿の組み合わせなど、考えられることは深く探究していろいろな種類の編み地をつくってきました。しかしながら吊りパイルだけは未開のエリアで、コットン100%で過去チャレンジはしたものの満足いく編み地は出来上がりませんでした。東洋紡糸のこのウール100%糸を見た時に、これで吊りパイルを編んだら面白いかもしれないと思い今日につながっています。ウォシャブルウール糸ではないので、まずは洗濯縮率との戦いです。ある程度縮むのは覚悟の上で、薬品を使わずなるべく縮まないようにするにはどうしたら良いかのせめぎ合いをしてきました。ガチガチに度目(ドモク)を詰めてしまうとウール吊りパイルのフワッとモコモコした風合いがなくなってしますので、その塩梅と言いましょうか加減を、ループウィラーらしいところに落とし込むのがキモでした。ドライクリーニングがベストですが、家庭で手洗いしていただけるレベルまではいけたかなと思っています。ウール吊りパイルが出来上がった時にこれで何をつくるのがループウィラーらしいのかが思案のしどころでした。自分の過去のライフスタイルからスキーにも山登りにも使えるんだけど道中にも着れて、さらにはストリートでもフィットするような最高級アウトドアJKをつくってみようかなと。そんなふうに考えて出来上がったのがこのシープJKです。とにかくこのウール吊りパイルのフワモコな感じを生かすべくパターンにもこだわり縫製仕様にもこだわり出来上がったサンプルがこれです。本当に良い感じで出来上がったかなと思っています。このパイピング仕様が丸和繊維工業をもってしてもなかなか手強かったようで相当に苦労してくださったようです。衿とポケットには64クロスを用いています。ポケットはスマホが短時間なら入れられるサイズとなっています。ウール吊りパイルは1カラーですが、衿やポケットの色を変えています。オレンジとネイビーの2カラー展開となります。サイズはS~XLまでの4サイズ、販売価格は93,500円(税込)となります。LPWHRとLWマークのプリントを入れています。家で洗濯試験を10回程度しましたが、予想以上に乾きが早く、22時くらいに洗濯をして部屋に吊り干しをしているだけで、翌朝にはほぼほぼ乾いていました。冬場ですので暖房がかかっていて暖かく乾燥しているとはいえコットンではこうはいかないです。フワモコ感と度目を詰めた生地のしっかり感が相まって今まで経験したことのないような着心地になっているかなと思います。今回の受注会の僕のイチオシがこの子かなと思っています。気に入ってくださると嬉しく思います。@鈴木さとし