革を縫う

革を縫う革を縫うということ。縫製工場というところは、布帛を縫うところとニットを縫うところは、全くの別ものであることはご存知の方も多いかと思います。LOOPWHEELERを縫製していただいている(株)吉武さんや丸和繊維工業(株)さんに布帛のスーツを縫製してみましょうといったところで、ミシンも違えば糸も違うし縫製の仕様も違う。そりゃプロですからなんとか型にはなるだろうけど、はたしてそれは良いものになるだろうか?答えは否ですね。餅屋は餅屋といいますが、このスタイルは戦後の高度成長時代を経た今日の日本の繊維製造業の大方のあり方かと考えます。日本の多くのアパレルメーカーは生産の拠点を海外に求め、それにたずさわる多くの企業が中国を中心に生産システムを構築している昨今の中で、日本の繊維製造システムは歯周病に蝕まれるがごとくじわりじわりとその健康体を維持できなくなってきているのが事実です。もともと日本人の優秀なところって勤勉で器用で何かを改善したり、進化させたり、知恵で工夫したり何かと何かを組合せたりとする能力。そういう秀でたものがDNAの中に組込まれているのだろうと思っています。LOOPWHEELERとしてこれから少しずつですが、今までの日本の生産システムにおける常識みたいなものの枠を広げてゆきたいと考えています。まずは昨年から何ヶ月もかけて、丸和繊維工業(株)さんの協力のもと革と革の縫製の試験をしてきました。画像のレベルにくるまでかなりの努力をしていただきました。さすが日本のカット&ソーを代表するファクトリーだとなぁと感嘆しています。
前置き長くなりましたが、革ジャンを作るわけではありません。06秋冬に向けてスタジャンを製作したいのです。過去にオール裏毛のスタジャンタイプのジップブルゾンはリリースしましたが、次なるものは袖を革にしたいわけです。となると裏毛と革の縫製はもちろんのこと、袖のパーツは3パターンほど必要ですので、革と革の縫製も必然となるわけです。でまずは最初に革と革を縫う訓練、ものすごい努力の結晶かと思っています。いつしか革も裏毛もウールの布帛もナイロンもどんときなさい!って言えるようになれたらいいかなって思ってます。そうなった時、ようやく日本の繊維製造業の立ち位置はワールドレベルで特異なものになるだろうし、確固たるものになるのだろうと考えます。それをさらっと普通にやることってカッコイイなと思います。先のお話ですが、06’秋冬にはスタジャンやりますので楽しみにしていただけましたらと思います。これからサンプル製作をしますのでまたお知らせしますね。今日は長々おつきあいありがとうございました! @鈴木さとし